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国土交通省がタイムラインを導入したわけ

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国土交通省は、大規模水害が国内外で増えているとして、国の機関と流域自治体の防災行動を、台風などが上陸前から時間ごとに定めた「タイムライン」を導入しました。





まず国が直接管理する109水系で作成する。





タイムラインとは一体どのようなものか。米国で生まれたタイムラインを日本で活用するためには、どのような問題点があるのか。





2012年10月末、ハリケーン・サンディが米国ニュージャージー州、ニューヨーク州を直撃した。上陸の3日前からニューヨーク州知事らは「緊急事態宣言」を発表。住民が避難する地域を指示するなど準備を着々と整え、被害を最小限に抑えた。ニュージャージー州バリヤーアイランドでは家屋の全・半壊が合わせて約4000世帯に上ったが、事前避難により人的被害はゼロだった。ハリケーン・サンディの脅威から多くの人々の命を救った早期避難を実現したのが「タイムライン」(事前防災行動計画)だ。 






ハリケーン・サンディはニューヨークで75年ぶりの都市圏における高潮災害をもたらした。日本では1959年の伊勢湾台風以来55年間、都市圏における高潮災害は起きていない。ニューヨークでは広範囲に渡って地下鉄にも浸水するなど、これからの日本の都市圏水害にも教訓を残せると思います。  






「ニュージャージー州の危機管理局に説明されたのがタイムラインの考え方だ。これはもともと州のハリケーン防災計画の付属書(事前行動要領)として2012年に作成されたもの。台風が襲ってきたときの直前の行動計画を時間軸に沿って策定することで被害を軽減するという考え方である。






「誰が」「いつ」「何を」を明確化 

タイムラインの構造は、台風が発生する直前直後に関係機関がやらなければいけないタスク(業務)を抽出。「誰が(主な機関)」「いつ(対応時間)」「何を(防災行動)」を明確化し、時間軸に落とし込むものである。



例えばニュージャージー州のタイムラインでは、防災行動の主体(誰が)を15項目に絞り、上陸前120時間で250項目、上陸後72時間までに40項目の防災行動を取り上げ、「誰が」「いつ」「何を」を時間軸で並べて整理した。ハリケーン・サンディではこのタイムラインにのっとり、州知事が36時間前に避難勧告を発令。そこから高潮が襲ってくるであろう沿岸部の自治体と連携し、12時間前に避難命令を出した。結果として、4000世帯が全・半壊した区域でも犠牲者をゼロに抑えることができた。 






「タイムラインは道具でしかないが、作成時にさまざまな機関や組織で危機感を共有するツールとしては非常に有効である。







*課題抽出から計画作成


タイムライン作成に当たっては、2011年の台風12号襲来時に、何が課題だったか、何ができなかったかを抽出することから始まった。防災行動(何を)は事前行動だけで220項目に上った。災害は大きくなればなるほど関連する機関も人も増え、混乱を増す。タイムラインの利点は、マニュアルと違い「自分が何をしなければいけないか」を書いているだけでなく、連携している他部門や他の組織がいつ、何をしなければいけないかまでを一覧で把握することができ、計画の遅れや漏れを確認しやすい点だという。 




*タイムライン導入に当たっての問題点 

日本がタイムラインを導入するに当たって考えなければいけないことは、まず米国のタイムラインはハリケーンのみの対策として作られていることだ。米国は日本のように複雑な気象上の前線がないため、ハリケーンの進路さえ予想できればある程度の被害は軽減できる。 





例えば2011年の紀伊半島豪雨では台風の上陸は四国だったが、前線が影響を受けて紀伊半島で豪雨が発生したように、日本では豪雨の発生地点が予想しにくいという課題がある。また、昨年に引き続き今年も発生した福知山(京都府)の由良川の氾濫などを見ても、豪雨により堤防が決壊したために発生する外水氾濫や街なかでの内水泥濫も多いなど、日本は気象条件が複雑で災害の種類も多い。日本版タイムラインは、よりきめ細やかな判断基準や地域の災害種類を考慮したものにしなければいけないと思う。




*法制度にも考慮 
もう1つの大きな問題は、法の制度設計の問題だ。日本の場合は国の災害対策基本法に基づき、都道府県や市町村が地域防災計画を策定する。その中で現在クローズアップされているのは発災前の「予防」と発災後の「応急」「復旧」「復興」フェーズであるため、タイムラインが重要視する「災害直前」の行動策定に関する法的な裏付けがないという。「法律に基づいた行動でない」ため、予算がつけにくい。この問題に関して、現在はタイムラインを国交省が後押ししているが、、、




*事後検証報告の必要性 

そして最後は、日本は自然災害に関して事後検証制度がないことだという。アメリカにはAAR(アフター・アクション・レビュー:事後検証報告)作成がほとんどの州で州法によって義務化されており、災害が発生した場合は3カ月以内に公表する義務がある。




阪神・淡路大震災は兵庫県が震災検証委員会を作ってレポートを作成したが、東日本大震災は津波避難や原発事故など、部分的な報告書はあるにせよ、全体の課題を総括したレポートは存在しない。 




もともと、タイムライン自体が2011年に発生したハリケーン・アイリーンのAARの成果として開発されたものだ。本来であればタイムラインを作って運用しても、事後検証を並行し、教訓や反省点を新たにタイムラインに盛り込んでいかなければ、タイムラインの今後の成長は望むことができないとしている。タイムラインが地域をつなぐ 現在は、行政主体に取り組んでいるタイムラインを、地域住民や企業まで拡大し、連携行動を取ることだ。 今年8月21日に開催した「荒川下流域を対象としたタイムライン検討委員会」には、東京都、北区、足立区などの自治体職員のほか、東京メトロ、JR、東京電力、NTT東日本などのインフラ事業者も参加して開催した。 




「最終的には町内会のタイムラインも作りたい。地域で見れば、企業もあるし消防団もある。タイムラインは組織や立場を超えて、何も知らない者同士が危機感を共有し、お互いをつなぐツールになる」。